大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(れ)1594 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人吉田朗の上告趣意は、末尾に添えた書面記載のとおりである。

上告趣意第一点について。

原判決に認定された事実によると、被告人は所論のAはもちろん、その宿泊先の

Bの家族全員を殺害して犯行の発覚を防止した後、右B方において金員強取の目的

を遂げようと決意し、同女に対し所論のような傷害を負わせたというのであるから、

同女に対する殺害もまた本件金員強取の手段であつたものと言うことができる。そ

れゆえ、被告人に対しては同女所有の金品強取の意思の有無に拘らず強盗殺人未遂

罪の責任を問うべきは当然であるから論旨は理由がない。

同第二点について。

本件は、刑訴施行法にいわゆる「旧法」事件であるから、原審における訴訟手続

は旧刑事訴訟法及び刑訴応急措置法によるべきこと刑訴施行法第二条によつて明ら

かである。されば、論旨に指摘する原審の証人尋問調書に記載された「刑事訴訟法

第二百一条」とあるのは旧刑訴二〇一条の誤記と認められる。それゆえ、原審の証

人尋問手続には所論のような違法はないので論旨は理由がない。

同第三点について。

所論検証並びに証人尋問の日時場所の変更を検察官に通知したことの明らかな証

拠が記録に存しないことは所論のとおりである。しかし、証人尋問や検証の日時場

所を検察官に通知するについては如何なる方法によるも差支えないのであり、その

通知の事実を記録に留めることは必ずしも必要ではないのであるから、その通知の

明らかな証拠が記録にないとの一事によつて直ちに通知がなかつたものと断定する

ことはできない。記録によると、所論の証人尋問は昭和二五年三月二六日と同月二

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八日の両日に行われ、二六日の分は検証現場で、二八日の分はa駅前の派出所で行

われているのであつて、右の検証には福島地方検察庁検察事務官Cが立会している

こと検証調書の記載により明らかである。これによつてみると、右検証については

もちろん、各証人尋問の日時場所についても検察官に通知されたことを推認するこ

とができるのである。それゆえ、論旨は採用することができない。

よつて、本件上告を理由ないものと認め、旧刑訴四四六条に従い、主文のとおり

判決する。

以上は、裁判官全員の一致した意見である。

検察官 渡部善信関与

昭和二六年三月六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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